「硬いものを噛みましょう」だけでは解決しない本当の理由
2026年7月23日、青森県学校歯科保健研究大会にて講演をさせていただきました。
「うちの子、歯が並びきれないんです。顎が小さいんでしょうか?」
保護者の方からよくいただくご相談です。
続いて「では、硬いものを噛ませたらいいですか?」と聞かれるのですが、実はこれ、半分正解で半分は的外れなんです。
硬いものを噛んで鍛えられるのは、咬筋や側頭筋といった「顎の外側」の筋肉。でも歯並びを決めているのは、外側の力だけではありません。鍵を握るのは、意外にも舌なんです。
歯並びは「内と外のバランス」で決まる
歯は、舌が内側から押す力と唇や頬が外側から押す力がつり合う場所に並びます。
外側ばかり鍛えても、内側の舌が弱ければ顎は広がれません。
舌はほぼ全体が筋肉。正しい位置では上顎にぴったりくっついています。ところが筋力が弱いと舌が下がる「低位舌」になり、気道を圧迫して呼吸がしづらくなります。調査では小学生の約35%に低位舌の傾向が見られました。
影響は歯並びだけじゃない
低位舌は、食べこぼし、発音の不明瞭さ、口呼吸からくるいびきや無呼吸リスクなど全身に波及します。成長期の子どもに大切な睡眠の質にも、舌の位置が深く関わっています。
今日からできる3つのこと
- 一口量を見直す。目安は親指の第一関節の先くらい。多すぎると舌が動けず、噛まずに飲み込んでしまいます。
- 足の裏を床につけて食べる。舌から足裏まで筋膜でつながっており、足がぶらぶらだと舌の動きも悪くなります。
- 「あいうべ体操」。「あー・いー・うー・べー」と大きく口を動かすだけ。道具いらずで舌の筋トレができます。
毎日の食べ方の小さな意識が、お子さんの健やかな成長を支えます。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

